現象:Linkstation が EMモードでデータが開けない。
OS:Linux RAID0 XFS フォーマット
メーカー:BUFFALO社
原因:ハードディスク故障(セクタ不良)
フラグ:データ復旧成功
・Linkstation 故障状況、症状などについて(お客様談)
Linkstation のデータが開けなくなり、パソコンの NAS Navigator から確認すると EM モードになっていた。ネットで調べてファームウェアのアップデートを試すが状況は変わらず。電源は入れっぱなしでシャットダウンすることはなかった。しかし、ガンガン使うのではなく、たまにアクセスする程度。あまり使っていないのに壊れるとは考えられず、バックアップはしていなかった。・LinkStation 故障の原因と補足について
タイプ: 突発型、NAS 病、併発型、誤作動有りコンディション: 良い
*用語については当社で勝手に名付けています。
No.2 ハードディスクにセクタ不良が発生していました。 RAID0 の No.1 ハードディスクは正常です。こちらの画像は No.2 ハードディスクの SMART 情報です。なお、SMART 情報はハードディスクの記録であり、フリーソフトなどで簡単に調べられます。またセクタ不良とはハードディスクの記録面の磁力が劣化して弱くなる故障です。磁力が劣化し、弱くなってしまうと、その部分は読み出すことも書き込むこともできません。ただし記録面全面の磁力が一気に弱くなることはありません。部分的な故障が大半です。
セクタ不良はハードディスクの宿命的な故障です。書き込み時は磁力を変更するため、負荷がかかり疲労が溜まります。そしていつかは磁力が劣化して弱くなります。そこでおまけのセクタが準備されていて、セクタ不良が起きるとおまけを使います。「05:代替処理済みのセクタ数」がそのおまけですが、カウントされておらずおまけを使っていないという意味です。しかし「C5:代替処理保留中のセクタ数」と「C6:回復不可能セクタ数」はカウントされており、セクタ不良が起きたけどおまけを使うことができなかったという意味です。
このような数値は、突発型と言いましょうか、ある日突然たくさんの不良が起きると処理しきれずこうなります。ちなみに疲労が蓄積されるようなのんびり発生する分には「05:代替処理済みのセクタ数」のおまけがしっかりと使われます。さらにこのような数値の場合は、カウントされていないセクタ不良もあって、作業を進めると実はたくさんあったなんてこともあります。以上は数値上の補足です。数値では見えない状況については以下に進みます。
作業を進めてみると、カウントされていないセクタ不良はなく、まだまだ劣化のはじまった初期段階の状態でした。コンディションは良く、2TB ハードディスクではあるもののクローンディスクの作成に 1 日かかりませんでした。そして通常であれば、クローンディスクで RAID0 のマウントをすれば完了のはずが… パーテーション情報が書き換わりズレていたため、クローンディスクのパーテーション情報を書き換える必要がありました。ちなみにですが、これは正常なハードディスクでも NAS トラブルで見る症状です。NAS 特有の症状と言えるでしょう。セクタ不良発生時に誤作動し併発したものです。
その他 NAS 全般のトラブルについては、「 NAS を認識しない、アクセスできない時の対処法 LinkStation、TeraStation、LAN DISK 」、「 LinkStation のフォルダが開けない、消えた?! その原因と注意点 」、「 NAS のデータ復旧を大実験!仕組みを大公開 」も確認してください。当社ホームページのコラムで解説しています。
・LinkStation のデータ復旧について
LinkStation も含めて NAS 全般でそうですが、OS のパーテーションとデータが保存されるパーテーションが違います。たとえばパソコンであれば、Windows の C ドライブにマイドキュメントなどのデータが保存されますが、NAS の場合は OS とデータが別々のパーテーションに保存されます。そしてデータが保存されているパーテーションにセクタ不良が発生していたため、データ障害が懸念されましたが… お客様に救出したデータをご確認いただき無事OKでした。
作業期間:2日間。データ復旧。
コメントを付けているため、すべての事例を紹介できませんが、もしお困りの際は実績豊富な当社へご相談ください! 関東エリアは出張作業もやってます!
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